真夏の東京・鎌倉・湘南


建長寺の東門。見事な金細工が真夏の青空に燦然とくきらめいていた。


鎌倉らしい竹林。一服の涼を楽しませてくれた。


都心のオアシス、六義園。

2014年7月28日〜31日

国立新美術館で開催中の毎日書道展を見るため久しぶりの東京に出かける。
2回目の挑戦で入選できた。西日本では刻字の作品が少なくて知っている人も少ないが、東京ではハイレベルの作品が多数展示される。
力作ぞろいの作品をみてさすがに東京まで来たかいがあったと痛感する。.


新宿都庁前のホテルの部屋から都庁ビル群が正面に見えて、夕日にそびえる姿に感動。夜は旅行中の友人に代わって彼女のご主人が迎えに来てくれて東京の繁華街を案内してくれた。
持つべきものは良い旦那を持つ親友だと痛感する。


出勤する人波に逆らって新宿駅まで歩くのが大変!信号がまだ赤なのにもう半分くらい
渡っている。とにかく歩くスピードが速い。
新宿湘南ラインで鎌倉へ。酷暑の鎌倉は、立っているだけでも汗が噴き出る。
まずはパンフレット通りに行ってみようと小町通りを歩く。
立ちくらみしてしまうほどの日差しに耐えかねて一番大きな日傘を買った。傘をさしてマップ片手に息も絶え絶え歩く。ふと目を上げて林の切れ目に神社らしき広場が見えたのでランニング中の若者に尋ねた。なんと、かの有名な鶴岡八幡宮!案内板も眼に入らないほど暑い。

建長寺まで頑張ろうと坂道をだらだら登っていく。
“すみません、この先建長寺ですか?” “Go straight.” 外人さんだった。

鎌倉五山第一位の古刹の建長寺の本堂の仏像、天井の龍の絵は見事。
手入れの行き届いた庭の奥へ進み、石段をひたすら登って山頂中腹の半僧坊を目指す。
くじけそうになって一旦立ち止まったものの最後の階段を登りついに到着!

鎌倉駅の食堂で名物シラス丼を食べた。食堂のおばさんが普通に英語で外人さんの質問に
答えている。年配の駅員さんもちゃんと英語をしゃべっている。たいしたものだ。
江ノ電に乗って江の島へ。

灼熱地獄の大橋を渡る気になれない。躊躇していると遊覧船乗り場が
あって、小さな弁天丸が連れて行ってくれた。往復お世話になって少しだけ湘南気分を味わう。

小田急で新宿までストレートでいける。夕方のラッシュに押し戻されそうになりながらホテルへ。
疲れ果てて夕食も食べたくないとベッドに横になっていたが、これではいかんと気を取り直して
最上階のレストランへ行ってみた。

還暦過ぎの女が一人では入りにくいフロア。一旦エレベーターに乗り、また戻った。夜景を見ながらひとりの食事は初体験。緊張して赤ワインを飲みながらステーキを食べていてもあまり楽しめない。察したのかウェイターが話しかけてくれる。
“ここの夜景はTVドラマのシーンでよく使われています。”
ワインの酔いも手伝って夜景を楽しむゆとりが出た。

3日目の朝ホテル周りを散歩してみた。窓から見る景色とは違うことに気づいて慌てた。
平面でしか地理をとらえられない田舎者には何層にもなっている都市の構造は恐怖だ。
こちらと思う方向へ歩いていてもダメ。やっとホテルを見つけた時の安堵感!

毎日展の後期を見るため再び六本木へ。そして新宿から栃木の野木に行き友達の迎えを受けた。
気の置けない心づくしのもてなしを受けた。

4日目友人と二人で東京に戻ってまず年寄りの銀座として有名な巣鴨のとげ抜き地蔵へ行ってみる。お地蔵様に水をかけ自分の体のわるいところを手拭いでで拭くとよくなるという。全身拭いてみた。頭と顔を重点的に…

特別名勝“六義園”は高い塀に四方を囲まれた都会の別世界オアシスだ。柳沢吉保が築園した「回遊式築山泉水」の大名庭園で、明治になり岩崎弥太郎の別邸になり、その後都に寄贈され現在に至っている。保存に相当の税金が投じられているだろうと松の木一本一本を見ながら思った。贅沢な景色の中で池の風に吹かれながら美しい菓子とお薄をいただく。高校生の茶道部員に戻った気分。

東大赤門前でバスを降りて学内のレストラン椿山壮でランチした。私たちが高3の年に学園紛争で
東大の入試が中止された。
“あいにく受験できなかったのよねえ。”
東大には全然関係の無かったあほな同級生同士のかわいい会話。あれからなんと45年も経ってしまったのだ。

ほんとに楽しかった4日間だった。ただ一つのことを除いて。
赤門前から乗ったバスで席を譲られたのだ。初めての経験だった。東京の人たちは意外と親切。
でもショックだった。背筋を伸ばして頑張っていてもシルバーシートに座れるような外見になっているかもしれないと自覚せざるを得ないのか。

心和む自然を楽しむ旅も勿論素敵だが、都心の風に吹かれながらの一人旅は自分自身の自信につながって後味の良いものになった。

毎日書道展九州展は年末に開催される。私の作品を見るのが楽しみで待たれる。



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