春の瀬戸内


 2015年3月17日から3泊4日で瀬戸内地方をドライブ旅行した。
育児休暇がもうすぐ終わる長女とその娘の花奈(11か月)と女3世代の旅行を計画したのはもちろん言い出しっぺの長女で、彼女が4日間交代なしで運転してくれた。

 早朝西鉄電車で大橋駅まで行き長女に拾ってもらって須恵インターから倉敷に向かう。
 午後3時頃
倉敷に到着。ホテルにチェックイン後早速観光に繰り出す。

ホテルから倉敷市の市街中心部で昔日の繁栄をそのまま残す倉敷河畔の美観地区まで歩いて2分の距離。ベビーカーを押しながらゆったり散歩する。

江戸時代、幕府の天領として繁栄し、明治以降も倉敷商人の活躍でにぎわった様子がしのばれる。民藝館や考古館など日本の古い家並みと大原美術館や倉敷アイビースクェアなど洋の建物が運河を中心にうまく溶け合っている。
ギャラリーやカフェ、土産物店が昔の町屋を再生して独特な落ち着きを見せている。

夕闇がしのび寄り、家の中からやわらかな灯りが漏れてきてそれが運河に映って、一幅の絵のよう。住む人の息づかいが聞こえてくる、ためいきが出そうな瞬間だった。

土産物店で美味しい焼き鳥屋さんをたずねて高田屋をおしえてもらう。久留米の焼き鳥とはまた違う美味しさに大満足。花奈にはレトルトのベビーフードを食べさせてババとママはほろ酔い気分。
夜の倉敷をベビーカーを押してそぞろ歩きでホテルに戻った。


倉敷川の運河は交通の要衝として古来より商業の中心となる。

多くの商人が集まり、蔵を建てた。現在、土産物店や飲食店として改装され、しっくり溶け込んでいる。

証券会社も普通の町屋の風情。
郵便ポストも面白い
玩具屋のショーウィンドー
備前焼の店先
倉敷紡績工場跡地
猫のオブジェがなぜかしっくり似合う
レトロな町屋にしのび寄る夕闇を歩く
やがて夜の帳が…
昼間とは違った表情の町並み

優しい光に包まれる美観地区


翌朝、3月18日、花奈を抱いて近くの鶴形山にある観龍寺への石段を登って阿智神社まで歩く。美観地区の朝の景色が眼下に広がり、しっとりした倉敷の朝の息吹を感じる。

8時にホテルを出発して、
直島行きのフェリーに乗るため宇野港に向かう。

9時頃到着。フェリー乗り場では乗船待ちの車がずらりと並んでいて、大勢の乗船客でいっぱいの状態。濃霧のため、今朝はまだ一便も出港していないのだった。

しばらくしてやっと出港することになったが、車の順番待ちをしていると昼過ぎになるので車を駐車場に入れて、人間だけ乗ることにする。

わずか20分ほどの乗船だが、港を出ると小さな島がいくつもあって、やはり濃霧の中を操向するのは危険な水域だと思った。

アートで有名な直島は若い人たちに人気で瀬戸内の島らしからぬ不思議な空間に包まれている。
空前の観光ラッシュに島内のいたるところに建設現場が見られる。船内に大勢の作業服姿が見られて異様な感じを受けたのだがその謎が解けた。

宮浦港から町営バスで本村エリアまで行き「家プロジェクト」を見て廻った。何とも不思議な家を6軒見たのだが、正直さっぱり理解できない。あちこちで見かける外国人の観光客には解るのだろうか。それぞれにコンセプトがあって、神妙な表情の係員が写真はダメだとおっしゃる。

私にはアートよりも島民の家のほうがよほど魅力的。大勢の観光客に日常をさらすことで美意識が高まるのだろうか。庭から玄関へのアプローチがそれぞれとても綺麗でみとれてしまう。

カフェこんにちわで美味しいランチのあと、雨が降ってきたし、現代アートはもういいやと直島を出ることにする。本当はまだ見どころ満載の島に対して失礼かなとおもいつつ…

霧が少し晴れてやっとフェリーが運航する。 島内の家は焼杉の壁が目立つ
手入れの行き届いた民家の庭 ちらりと見える奥ゆかしい風情
家プロジェクトの作品。? ガラスの階段。これも作品


宇野港から鞆の浦まで1時間以上のドライブ。だんだん雨脚がひどくなる。車を置いて鞆の浦の渡船場から渡し船に乗り仙酔島まで5分。

船を下りて、雨に濡れながら花奈と荷物を抱えて足場の悪い道を歩く。もう最悪。

無人島にある国民宿舎はかなり古びてくたびれ気味。
ロビーの受け付けの男性はいろいろもったいぶって館内の説明をしてくれるが人影は二人連れの女性だけ。
食事の時分かったのだが、その人たちは日帰りだったらしく、なんと4階建ての国民宿舎の客は私達だけだった。ネットのうたい文句にだまされた感がする。

広い食堂にずらりと並んだテーブルで私達だけのために調理人と給仕人がいてB.G.Mが流れる。海の幸が次々運ばれてきてもなん何となく落ち着かない。

私達だけのために建物全体に電気がついて大浴場が沸いてエレベーターが動いている。夜間、従業員は島に一人は残るだろうが、私達以外何人いるのだろうか。何となく気味が悪い。早々に寝ることにする。

翌朝、眼下に広がる白砂の砂浜を見ていると犬らしき動物がとぼとぼ歩いていくのが見える。? タヌキだった。人影は皆無でタヌキだけがみえる。

傘をさし、花奈を抱いて遊歩道を歩いてみた。すぐ前に皇后島が浮かんでいて天気が良ければとても良い景色だろう。

朝食前に4階の展望風呂に入ってみたが、やはり私達だけ。
また雨の中、船着き場まで荷物を抱えて歩き、渡し船に乗り鞆の浦に戻った。

鞆の浦は戦前まで栄えた港町。山陽本線の開通と自動車交通の発展の影響で時代に取り残されてしまった古い町並みには緩やかな時間が流れている。
雨に煙った皇后島。晴れていたらさぞや美しい景色だろう。
花奈と二人っきりの世界。
鞆の浦の路地 商家の町並み
常夜灯 釣り具屋。漁師さん用です。


鞆の浦から
尾道まで一時間ほど。さっそく尾道ラーメンを食べる。本当に美味しくて大ファンになってしまった。

雨がやっと上がってくれた。急斜面の坂道の町を体感するべく千光寺まで歩いて登ることにする。テレビでよく紹介されている眺めの良いカフェでお茶しようと探して回る。上ったり下ったり、やっと見つけた店の入り口に未就学児お断りの張り紙。。。ガッカリ。こんなにかわいい花奈を入れてくれないなんて!こっちがお断りだ、フン!
街で一番人気の“コモン”でワッフルを食べて満足。気を取り直す。

甥と姪が住む
に向かう。ちょうど4年前に亡くなった彼らの両親のおまいりが出来た。それぞれ新しい門出の春を迎えて、4年の月日を実感して感無量になる。

急で険しい階段
何故か坂道には猫が多い
これぞ尾道! 街を一望できるカフェはどこに?

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