ロンドンとコッツウォルズ
 姪とはメールのやり取りを数回してはいたが、まず会ってから旅程を決めることにして、とりあえずロンドン2泊の宿だけ確保しておいてくれるよう頼んでいた。安くて駅に近いところをスマホで探したら しい。一階がバーになっている白いおしゃれな建物の2階の部屋に案内されて声を失う。

 広くもない部屋に三段ベッドが8台!しかも男女同室!ホテルではなくホステルだった。下の段で助かった。頭を打つので 首をかしげながら隣のベッドを見ると、ブルーの目の若者がにこっと笑う。上の段の金髪美女は長い足でひらりと飛び降りる 。入室の時はドアロックのパスワードを入力しないと開かない。トイレに行く時、パスワードをメモした紙と老眼鏡を忘れな いようにしないと部屋に戻れない。2階にトイレが5つ、シャワーが3つあるのだがいったい何人で使うのか。これまではも ちろんこれから先も2度と経験することはないだろうと思い覚悟を決めて開き直ると愉快な気分になる。

夕食に外に出る。レストランのメニューを見て高い価格にちょっと引いてしまう。物価が高い!消費税が20パーセントとは驚きだ。

10・21
 翌日ビクトリア駅集合で「世界で最も美しい」と讃えられる村々、コッツウォルズ地方へのバス旅行に参加する。旅立ち前に ネットで日本人のガイド付きツァーに申し込んでいた。
強風雨交じりの出発だったがしばらくすると晴れ間がのぞく。一日の うちに四季があるというイギリスの天気は山が無い地形のせいらしい。遮るものが無いので雲があっちフラ、こっちフラする のだ。

ロンドンの通勤ラッシュを抜けると順調に丘陵地帯を走って2時間ほどで「この世の天国」とウィリアム・モリスに賞賛され たバイブリーに着く。産業革命のころ羊毛産業で栄えた時代の英国の面影を残し、はちみつ色の石造りの家々と緑のコントラ ストが美しい、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだようだ。ボートン・オン・ザ・ウォーター、ブロードウェイ、ストウ・オ ン・ザ・ウォルド。どこもかしこも旅情をかきたてられるスポットばかり。

可愛いレストランでフィッシュ・アンド・チップ スを昼食に食べた。あつあつにレモンを絞ってなかなかおいしい。美しい景色もずっと続くと見飽きてしまい、お腹がいっぱ いになるとバスの中で眠ってしまった。

 予定では明日からユーロスターでベルギーとオランダを3日間廻るつもりでいた。まさかユーロスターが全席指定だとは知ら なかった。キングスクロス駅で切符を買っておこうと尋ねてみると明日のチケットはもう完売しているとのこと。仕方がない のでヨーロッパは旅の後半に廻すことにする。ブリュッセル行き27日から3日間の往復のチケットを買い、明日からはスコ ットランドへ行くことにした。

 ホステル2泊目。一泊目は使わなかったシャワーに挑戦する。服を置く棚すらないのでトイレタンクの上に置く。上に固定 されたシャワーヘッドから勢いのないお湯が落ちるだけ。ドライヤーは故障中。安いとはいっても,ちょっとひど すぎると思うが誰も文句を言わずに淡々としている。サービスの行き届いた日本では考えられない。二泊目ともなると慣れたので早々に眠ってしまった。
11・22
 緊張の連続だったホステルを発ってビクトリア駅から通勤ラッシュの地下鉄でキングスクロス駅へ。私の大きなリュックで 周りの乗客に迷惑をかけてしまう。でも彼らだってほとんど私の2倍はありそうな体格ばかり。フライドポテトばかり食べているのかしら。



14世紀の家並みが損のまま残るアーリントン・ロウ。小川に沿っていしっづくりのコテージが連なる。今も村人が住んでいるので、そっと外観を見るだけ。


村を中心に流れる小川には水鳥が遊ぶ。きれいな水のバイブリーではトラウトファーム(マスの養殖)が100年前から行われている。


ボートン・オン・ザ・ウォーター。並木と石造りの家とのコントラストが美しい。


手入れの行き届いた民家。心地よい散策が出来る。


平日のせいか、とにかく老人の姿ばかり。イギリスも高齢化が著しいようだ。

エネルギッシュでパワフルなロンドン。

ホステルの一階のパブ。
キングスクロス駅。

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